ポンカンとタンカン、食べた時の違いを教えて!
いきなり核心部分からから切り込んでいきます!
比較項目は、「見た目」「外皮(一番最初にむく皮)」「内皮(ミカンの缶詰では既にとられている部分」「甘み」「酸味」「収穫時期」となっています。
下に比較した表を作りましたので、見比べてみてください。
品目名 | ポンカン | タンカン |
---|---|---|
見た目 | ややゴツゴツ | ツルツル |
外皮 | 厚い | 薄い |
内皮 | 薄い | 薄い |
甘み(レベル1〜10) | 5〜9 | 9〜10 |
酸味 | 少なめ | ややある |
収穫時期 | 11月下旬〜1月中旬 | 1月下旬〜4月中旬 |
屋久島でとれる同じ柑橘類ですが、意外とそれぞれに特徴があるものなのです。
そして、なにより収穫時期が異なるということはミカン好きにはたまらないわけでして、長い期間にわたって2種類の個性的な柑橘類を楽しむ事ができるというのは、なによりも嬉しいことですね!
さぁ、ここからはもう少しポンカンとタンカンをそれぞれに掘り下げていきたいと思います。
これを知っていたら、みなさんがおすそ分けする時やお客様が家に来たときなどに、使えるような豆知識も盛り込んでありますので、是非「へぇ〜♪」をお楽しみください。
ポンカンってどんな果物なの?
屋久島でのポンカン栽培は、大正13年に黒葛原兼成翁が、ポンカンの苗を植えたのが始まりとされています。
屋久島ポンカン原木は1924年、当時の下屋久村長である黒葛原兼成翁が屋久島の農業振興のために、台湾から苗木を取り寄せ植栽したようです。
その後10年の歳月を経て、日本で初めてポンカン栽培に成功しました。現存するポンカンでは、屋久島の原木が日本で一番古いと言われています。
ビタミンCにおいては、温州(うんしゅう)みかんの2倍近くまで含んでいるそうなので、インフルエンザや風邪の引きやすい季節に旬を迎えるポンカンを食べて、免疫力を高めておきたいものですね。
ポンカンの出荷時期
屋久島では、11月下旬~1月中旬が一般的です。
とは言っても、出荷時期のメインは12月20日くらいまでです。お歳暮商品として人気の高い屋久島ぽんかんですから、どうしてもそのお歳暮の時期に間に合わせるように出荷を早めています。
他地域では2月に入っても収穫している所があるようですからね。
ポンカンの主な生産地
ポンカンの栽培は、我ら屋久島町のような離島だけでなく、鹿児島本土でも盛んに行われています。
主な生産地としては、屋久島町・日置市・いちき串木野市・枕崎市・南さつま市・指宿市・出水市・長島町・肝付町・南種子町が挙げられます。
ポンカンの収穫量
タンカン紹介の最後に一覧を載せてありますので、ポンカンとタンカンを比較しながらご覧ください。
タンカンってどんな果物なの?
中国広東省が原産地といわれています。1897年(明示30年)頃に台湾から鹿児島に持ち込まれたようです。
ポンカンとネーブルオレンジの自然交配種とも言われています。
ポンカンには「すあがり」と呼ばれる、要は中がジューシーで無くて、甘みもあまり無いようないわゆる「ハズレ」が混ざる確率がタンカンと比べると高いのが現実で、これを無くしたり省いたりするのが農家さんの悩みです。
この弱点を補うためにジューシーなネーブルと掛け合わされて作られたというお話もあります。
最大の特徴は、その甘さと酸味のバランス、そして香りの豊かさとジューシーさですね。
正直、柑橘類としてはかなり王様的存在です。
屋久島と同様にタンカンの生産が盛んな沖縄のタンカンと比べても、酸味が残しやすいので、酸味と甘みのバランスが農家さんの腕の見せ所です!
タンカンの主な生産地
タンカンの栽培は、鹿児島県の中でも屋久島・奄美大島・徳之島などの離島がおよそ8割を占めています。
具体的には、我ら屋久島町、そして奄美市・徳之島町・枕崎市・南さつま市・南大隅町・肝付町・中種子町・宇検村・瀬戸内町などが挙げられます。
このうち、「屋久島のたんかん」と「南さつまのたんかん」は、かごしまブランドに指定されています!
スゴイですよね!ここにもまた「屋久島のたんかん」がお勧めな理由がありましたね(^_-)-☆
タンカンの出荷時期
2月上旬~4月中旬が一般的です。
タンカン収穫のメインは3月下旬までですが、『こころまちギフト』では更に旬を追い求めているので、通常4月にはいっても収穫しています。
そのおかげで、樹上で完熟を待ったタンカンの甘さが半端ないです♪
過去のデータを比較して見えてくるポンカンとタンカンの歴史
ポンカンやタンカンを過去から紐解いているところがほとんど無かったので、農林水産省からデータを集めていくつか表を作ってみました。
2020年4月時点で、農林水産省から手に入れることができたまとまった最新データがなんと2017年度でした(^_^;)
でも、こうやって表を見ていくと、ポンカンとタンカンの物語が見えてくるようで、とても楽しかったです。
みなさんも是非一緒に「ポンカン物語+タンカン物語」をお楽しみ下さい。
全国ではポンカンとタンカンはどれくらい生産されているのだろう?
まずは全国的にどのくらい栽培され、収穫し、出荷されているのかをポンカンとタンカンで比べてみましょう!
全国(2017年) | ||||
---|---|---|---|---|
品目名 | ポンカン | タンカン | ||
栽培面積 (ha) | 1,701 | 780 | ||
収穫量 (t) | 21,410 | 4,675 | ||
出荷量 | 18,151 | 4,264 | ||
出荷量(その内、加工用) | 762 | 141 |
これを見ても分かる通り、まだまだポンカンの方が栽培面積も収穫量も倍以上多いということです。
屋久島ではポンカン栽培からタンカン栽培へと少しずつシフトしていっていますが、全国的にはまだまだポンカンの方が栽培されているということですね。
タンカン栽培の方が、より温かい環境を求められる分、全国的にはポンカン生産の方がしやすいというのもあると思います。
ポンカンとタンカンの全国収穫量ランキング
次にこの2017年(平成29年度)における収穫量と収穫地をまとめた表をご覧ください。
全国でポンカンやタンカンの収穫量が多いのはどこか?
みなさんまずは想像してみてください!
・・・
・・・
・・・
想像できましたか?
では、早速答え合わせをしてみましょう♪
収穫量トップ3(2017年) | ||||
---|---|---|---|---|
品目名 | ポンカン | タンカン | ||
順位 | 都道府県名 | 収穫量 (t) | 都道府県名 | 収穫量 (t) |
1位 | 愛媛 | 8,577 | 鹿児島 | 3,260 |
2位 | 鹿児島 | 3,115 | 沖縄 | 1,383 |
3位 | 高知 | 2,467 | 宮崎 | 31 |
※小数第一位を四捨五入
鹿児島県は唯一、ポンカンとタンカンの収穫量でランキングされているのが分かります。
屋久島と言えばポンカン、タンカンというイメージがありますが、これは鹿児島県が持つブランドイメージを作る一端を担っていると言っても過言ではありませんね。
ポンカンとタンカン収穫量の5年推移で過去を紐解く
データの信頼性が確保できると判断したのが、1980年少し前くらいからでしたので、キリの良い1980年度から5年おきに収穫量トップ3がどのように変化してきたのかを追ってみました。
赤い※印があるところは、表の下にちょっとした説明を加えているので、あわせて見てもらえるとグンと分かりやすくなると思います。
5年ごとの推移「収穫量トップ3」 | |||||
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項目 | ポンカン | タンカン | |||
年次 | 順位 | 都道府県名 | 収穫量 (t) | 都道府県名 | 収穫量(t) |
1980
昭和55 |
1位 | 鹿児島 | 10,251 | 鹿児島 | 1,477 |
2位 | 高知 | 3,497 | 沖縄 | 946 | |
3位 | |||||
1985
昭和60 |
1位 | 鹿児島 | 10,094 | 鹿児島 | 2,700 |
2位 | 高知 | 2,370 | 沖縄 | 1,244 | |
3位 | |||||
1990
平成2 |
1位 | 鹿児島 | 9,762 | 鹿児島 | 2,900 |
2位 | 愛媛 | 4,182 | 沖縄 | 2,032 | |
3位 | |||||
1995
平成7 |
1位 | 鹿児島 | 10,480 | 鹿児島 | 4,812 |
2位 | 愛媛 | 4,915 | 沖縄 | 2,889 | |
3位 | |||||
2001
平成13 ※1 |
1位 | 鹿児島 | 10,781 | 鹿児島 | 5,078 |
2位 | 愛媛 | 8,847 | 沖縄 | 2,444 | |
3位 | 熊本 | 4,209 | |||
2005
平成17 ※2 |
1位 | 愛媛 | 8,434 | 鹿児島 | 4,975 |
2位 | 鹿児島 | 6,215 | 沖縄 | 2,253 | |
3位 | 熊本 | 2,994 | 宮崎 | 33 | |
2010
平成22 ※3 |
1位 | 愛媛 | 9,568 | 鹿児島 | 4,227 |
2位 | 鹿児島 | 4,664 | 沖縄 | 961 | |
3位 | 高知 | 2,712 | 宮崎 | 35 | |
2015
平成27 ※4 |
1位 | 愛媛 | 8,391 | 鹿児島 | 2,212 |
2位 | 鹿児島 | 3,101 | 沖縄 | 1,028 | |
3位 | 高知 | 2,366 | 宮崎 | 30 |
※1 2000年のデータは欠損のため2001年次を採用。 ポンカンの収穫では、高知と熊本はもともと多い方でした。
※2 ポンカンでは2003年(平成15)にはじめて愛媛県がトップに! タンカンでは、宮崎県は少なくとも平成11年度くらいから減産(縮小)傾向。
※3 沖縄のタンカンが半減しているのは8月と10月に大型台風によって、 大量に実が落ちてしまったことが主原因と思われる。
※4 鹿児島県のタンカン収穫量が半減しているのは、害虫ミカンコミバエの発生による影響と思われます。
まとめ
いかがでしたか?
ポンカンとタンカン博士になれたでしょうか♪
何気なく食べていたポンカンとタンカンの人生に触れて、より一層美味しく食べる事ができると思いますよ!